2007年度 第2回国際講座開催報告

    講師 アフターブ・セット
    元駐日インド大使
    慶応義塾大学国際連携顧問委員会委員長及びグローバルセキュリティ研究所教授
    テーマ 「アジアの進展に向けての新たな日印関係」
    開催日 2007年7月28日(土)
    場所 城西大学東京紀尾井町キャンパス

    第2回講義は、元駐日インド大使という経歴をお持ちのアフターブ・セット氏を講師にお迎えし、「アジアの進展に向けての新たな日印関係」というテーマで開催されました。

    最初にアジアのグローバリゼーションに関する話から講義は始まりました。アジア人として"意識(consciousness)"が生まれることが、アジアのグローバリゼーションの始まりであるとの見方を示し、またアジアは3つの宗教が生まれた地域であり、現代アジアを理解するためには宗教の歴史を正しく理解し、"つながり"を理解することが必要であるとの見解を示されました。

    インド、日本及び中国は、アジアの三大国であり、ポリマー産業・自動車産業などの市場の著しい伸び率や石油・天然ガスの必要性は、特にインドと中国が関与しており、この両国の動向がアジアの経済に及ぼす影響は計り知れず、今後とも目が離せません。

    振りかえってみると仏教が日本に入ってきたのは約1500年前となり、同時に民主主義の考えも伝来しました。インドと日本の交流はこの頃から始まっており、鎖国のときでさえ、長崎の出島を通じてインドの書物や知識が日本に流入しました。インドと日本の関係は、歴史的にみてもつながりが深く、また人的交流は明治以降再開し、現在まで様々な形で継続されています。

    戦後、1958年に日本が初めて実施したODAはインドに対してのものであり、現在もインドにとって日本が一番のODA援助国です。日印文化協定締結50周年にあたる今年は、日印交流年として位置づけられ、インドでは3万人の高校生に日本語を学ぶ機会を与え、将来の両国友好のため若い世代のうちからの教育に重点をおいています。

    インドと日本の交流の根底には、民主主義があり、歴史的・伝統的なつながりが非常に強いといえます。ヒンドゥー・仏教・神道などの考え方を正しく後世に伝えていくことこそ、インドと日本が果たしていくべき義務ではないでしょうか。人間であっても、石などのモノであってもみな等しいという考え方は、我々の伝統的な考え方であり、これこそインド・日本のジョイントであると言えましょう。

    講義終了後は活発な質疑応答があり、受講者には有益な時間を過ごしていただくことができました。今回は、城西国際大学の安房キャンパスにも衛星でサテライト中継が実施され、より多くの方に講義を聴いていただきました 。

    アフターブ・セット氏
    アフターブ・セット氏
    アフターブ・セット氏

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