2007年度 第6回国際講座開催報告

    講師 リシャール・コラス
    シャネル株式会社代表取締役社長
    欧州ビジネス協会会長
    テーマ 「世界を魅了する文化発信」
    開催日 2007年12月1日(土)
    場所 城西大学東京紀尾井町キャンパス

    第6回講義は、シャネル株式会社代表取締役社長のリシャール・コラス氏を講師にお迎えし、「世界を魅了する文化発信」というテーマで開催されました。

    講義は二部から構成され、第一部ではシャネルを例にとりフランスの文化(ブランド)がなぜ世界中から愛されるのか、またパリの街づくりからフランスにおける文学賞についてパワーポイントを使用しながら講義が進められました。

    シャネルは100年にわたり、創業者のココ・シャネルが持っていた探究心や先見性など5大要素を継承し、守ってきている。活動的な女性のためのデザインや、ドレスの色として使われていなかった"黒"を取り入れるなど、当時は一大センセーションを巻き起こしたが、現代ではその黒を含めた、白・ベージュ・ゴールドがシャネルの4大カラーとなっている。彼女がなぜバイカラーシューズを考案したかや香水No5のネーミングの由来など、様々なエピソードをご紹介いただきました。

    パリの街は、"古きものを保ちながら、新しきを取り入れる"というコンセプトがあり、ファザード保存も取り入れている。またフランスは他国の文化の受入にも柔軟性を持っており、例えばフランスの文学賞を、フランス人以外の"外国人"が受賞することも珍しくない。一方、フランス文化センターなどを全世界に300ヵ所設置し、フランス文化の普及に努めることも忘れていない。

    第二部では、世界に通じる日本の良さは何かについて、ご自身の見解を示されました。技術があるからこそ、日本の商品は世界で売れる。その世界に通じる日本・日本人の良さは、"拘り"があることだ。きめ細かい(うるさい)ほどに物事に拘ることによって伝統芸術が守られるという一面もある。クレームの仕方を例にとってみても、日仏米間では対応に大きな隔たりがある。伝統に対する尊敬や、色彩感覚、おもてなしの心など他国にはない素晴らしいものを持っているのに、日本人はその文化を理解して、世界に向けて発信しているだろうか。

    日本人は"モノには魂があり、美しいもの愛する"DNAが備わっているので、街の概観一つ取ってみても、何でも壊すのではなく、"壊すもの"と"残すもの"の見極めをもっていくべきではないか。合理主義だけに走ることなく、日本文化に誇りを持ち、もっと外に発信していくべきでしょう。

    滞日期間が30年近くになるコラス氏は、非常に流暢な日本語を話され、日本文化や日本人に対する深い愛情が言葉の端々から感じられる内容の濃い講義でした。軽快で時折熱い語り口調に独特のユーモアを混ぜながらの講義は、全く飽きることがなく、90分の講義時間があっという間に過ぎてしまいました。3年18回に及ぶ国際講座も、今回の講義で終了となりました。多数ご来場いただき、誠に有難うございました。

    リシャール・コラス氏と講義の様子
    リシャール・コラス氏と講義の様子
    リシャール・コラス氏と講義の様子

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