2009年度 第2回国際講座開催報告

    講師 グレン・S・フクシマ
    エアバス・ジャパン(株)代表取締役社長
    テーマ 「日本から見たアメリカとヨーロッパ」
    開催日 2009年7月18日(土)
    場所 城西大学東京紀尾井町キャンパス

    まず、日系米国人のフクシマ氏がなぜ、欧州企業であるエアバスへ就職したのか。その理由は、

    1. 魅力的な会社であること。
    2. 航空産業が前向き、拡大成長産業で、おもしろそう。
    3. エアバスという会社が、欧州の多様な国々が違いを乗り越えて 適材適所で多様性をうまく活用するという欧州の良さを反映している。
    4. グローバル化で世界がフラット化して国籍の違いがなくなっている。
    5. 競争は健全な社会を作るために非常に重要。日本の航空機におけるボーイングの独占を排除したい。

    などがある。

    グレン・S・フクシマ氏

    なぜ日本がアメリカと密接な関係があるのか。第二次世界大戦での戦勝国と敗戦国。戦後の冷戦構造の中で日本はアメリカとの関係を強化することで政治・経済・軍事・制度面でメリットがあった。アメリカにとってもメリットがあった。

    一方、なぜ日本はヨーロッパから見て距離があるのか。仕事を通じて、日米間の密接な関係に比べて、日欧間の弱い関係に落差を感じる。

    それを象徴するのがエアバス。ヨーロッパ、中近東、アジアでのエアバスのシェアは50%を超えているのに、日本とイスラエルだけは約5%である。日本は、(ボーイングの本拠地)アメリカ以上にアメリカ的であると言われる所以である。

    日本は常に日米関係を気にしている。なぜだろうか。日本のマスメディアは、日本人を洗脳しているのではないか。日本ではボーイング製の事故の時は、航空機メーカーの名前を言わないが、エアバス製の事故の時はエアバスの名前を連呼する。日米・日欧関係の象徴の例がエアバスではないか。

    アメリカにとって21世紀は中国との関係が最も重要、とアメリカが発言。日本の外務省がひどく反発。アメリカは中国との間で、安全保障、経済、環境問題など大きな問題を数多く抱えているからであって、アメリカが日本のことを軽視しているわけではない。むしろ重要視している。日本に対する期待もあるので、その期待にどう答えるかが今後の日米関係につながる。

    最後に、グローバル化、多様化しているので、日本はビジョンを持つべき。アメリカが変化している中で、日本も他の国との関係を強化することによって、日米関係も活性化するのではないか。中国は共産主義だが、エアバスと共同開発することによって、ボーイングとも競争させて、いい条件を引き出す、そして行く行くは国産の飛行機を作れるようにしたい、というしたたかさを持っている。アメリカ一辺倒、共和党一辺倒、ボーイング一辺倒の現在の日本をなんとか変えたい。

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