2010年度 第4回国際講座開催報告

    講師 莫邦富
    作家・ジャーナリスト
    テーマ 「『鯛と羊』からみた日中文化の相違」
    開催日 2010年11月20日(土)
    場所 城西大学東京紀尾井町キャンパス

    2010年度第4回目講義は、作家・ジャーナリストの莫邦富氏を講師にお迎えし、「『鯛と羊』からみた日中文化の相違」というテーマで開催されました。

    まずご自身の日本語との出会いについて語られ、1973年に帰省中の上海の書店で日本語ラジオ講座テキストを手に取ったのが始まりで、第2の経済大国日本への関心と相まって、母音が5つしかないことへの神秘さが、日本語に興味を持ったきっかけである。

    続いて、テーマにもある「鯛と羊」を題材に、日中文化の相違を興味深く解説された。「腐っても鯛」と「痩死的駱駝比馬大」(やせて死んだ駱駝は馬より大きい)という表現があるが、日本語と中国語はともに漢字を用いるものの、一方は海の魚、一方は陸地の動物(家畜)をもって表現する、興味深い現象が見られる。

    莫邦富氏

    この現象は、日本と中国の文化的背景または文化環境の相違に由来するのではないかと考えている。つまり、日本語が「海洋文化」から、中国語が大陸の「牧畜文化」から大きく影響を受けているのではないか。文学作品の表現の中にも、日本では海洋性、中国では大陸性の比喩表現が良く使われる。また、日本語では魚の卵や魚の名前が細かく付けられている一方、中国語では牧畜文化らしく家畜の部位や、馬の種類が非常に細かく分類されている。

    中国語では、食事・料理関連の漢字(鮮・膳・羹)や価値観を表す漢字(羨、善、義、祥、犠)に「羊」の漢字が使われており、一つのキーになるものと考えられる。

    そして、最後に、中国人は内陸で生活している人が多く、海へのあこがれがあるので、中国人観光客に、日本の海洋文化をアピールしてほしいと述べられた。

    予定時間を越えての講義であったが、終了後は活発な質疑応答が行われ、受講者には和やかな雰囲気の中、有益な時間を過ごしていただくことができた。

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