2011年度 第3回国際講座開催報告

    講師 シェリー・フェノ・クイン
    オハイオ州立大学東アジア言語・文化学部教授
    テーマ 「能の「花」は海外でも咲くか -アメリカの学生を「種」として」
    開催日 2011年10月1日(土)
    場所 城西大学東京紀尾井町キャンパス

    2011年度第3回目は、オハイオ州立大学のクイン博士より、「能」をテーマにお話しをしていただきました。

    1970年代、アメリカの大学を卒業した後、大阪YMCA国際専門学校にて英語を教える仕事に就任。ある日、当時の大阪YMCAのディレクターであった加山先生に能に連れて行ってもらったことがきっかけとなり、能研究の世界に踏み込むこむこととなりました。能の知識もなく、言葉も十分理解できなかったが、能の雰囲気、緊張感を肌でひしひしと感じることはできました。そして、能についてもっと知りたいと思うようになり、その日から公演を観に通い始め、ついには2年間能を学ぶこととなりました。

    シェリー・フェノ・クイン博士

    その後、アメリカに帰国し、インディアナ大学大学院にて、有名な能楽師である世阿弥にスポットを当てた能研究を行いました。博士論文のテーマとして世阿弥の演劇論を取り上げ、無事1986年に博士号を取得しました。世阿弥が記した能の理論書「風姿花伝」の中で「花」は重要な意味を持っています。ここでいう「花」とは、役者が、その作品を正しく表現した時に、役者と観客の間に咲くものです。

    オハイオ州立大学で私が担当している日本関連の授業には三つのタイプがあります。一つ目は一般教養としての課目、二つ目はDEALLの日本語・文化専攻生(3、4年)の選択科目、三つ目は大学院進学のための授業です。学生たちの関心を引きつけるためにはどのようなカリキュラムを構築すれば良いか。能を学ぶことが、どのように比較文化の理解に役立つのか。こういった課題への回答を得るために私は様々な授業プログラムに取り組んでいます。

    海外において日本の古典芸能に関する専門書などの教育資材は不足しています。しかし、授業の中で能の演技や歌を実際に経験することは、長年経験を積んだ能役者にはとうてい及ばないかもしれませんが、異文化を理解するために有効な手段ではないでしょうか。

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