2007年度 第3回国際講座開催報告
講師 | 嶌 信彦 ジャーナリスト 白鴎大学教授、慶応義塾大学講師 NPO日本ウズベキスタン協会会長 |
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テーマ | 「変わり始めた国際情勢 - 日本は世界に何を発信すべきか」 |
開催日 | 2007年9月22日(土) |
場所 | 城西大学東京紀尾井町キャンパス |
第3回講義は、ジャーナリストの嶌 信彦氏を講師にお迎えし、「変わり始めた国際情勢 - 日本は世界に何を発信すべきか」というテーマで開催されました。
電撃的な安倍元首相の辞任による安倍政権の崩壊により、自由民主党の新総裁選のまさに前日、本講義が行われたため、講師は安倍政権の突然の崩壊の不可解を指摘し、世界からどのように見られたのかという事柄についてから、話が始まりました。
かつてアメリカは軍事・経済的にも世界をリードしていたので、その発言力も強大であったが、冷戦時代が終わり、いわゆる"脅威"が除かれてからの昨今のアメリカの弱体化が指摘されました。またサミットの根底には、80年代は対ソ連に対するもの、90年代は各地の内戦をどう抑えるかというもの、そして今はどのようにテロリズムに対抗していくべきかと、その時代の流れに沿って根幹のテーマが変わってきているのが特徴的であるとのお話もされました。今のアフガニスタン・イラクの動き、中央アジアの変貌、南米における親米派国の減少、EUの増大する力、中国の著しい経済の成長率など、アメリカを取り巻く環境の変化に、"アメリカ一極支配の時代"は終焉を迎えつつあるのではないかとの指摘もありました。
現在世界的に好景気であり、例えば中国は約10%の成長率で、安い労働力でどんどんモノが作られているが、このような中で日本の成長率は最も低いといっても過言ではありません。例えば日本のお米・牛肉などは世界で充分売れるので輸出を増やし、またアニメを産業に結びつけるなど、日本の文化を上手く産業につなげていく工夫が必要となります。日本の食文化やファッションなどは世界でも注目されているので、日本は"成長のエンジンは何か"ということを再考していくべきではないでしょうか。もっと"クールジャパン"をアピールし、日本の強みである"省エネ・環境技術"をいかに市場に結びつけ活用していけるのか、その仕組みも考えていくべきでしょう。
ジョークを交えながらの独特のトークで会場はしばし笑いに包まれ、予定時間を越えての講義となりましたが、終了後は活発な質疑応答が行われ、受講者には有益な時間を過ごしていただくことができました。今回も、城西国際大学の安房キャンパスに衛星でサテライト中継が実施され、より多くの方に講義を聴いていただくことができました。


