ご挨拶

理事長 室町正志

この度、東芝国際交流財団は創立30周年を迎えました。これもひとえに、私どもの活動を日々ご支援いただいている関係者の皆様、世界各地の教育機関・研究所、美術館等で活躍される日本研究者の皆様のご理解に支えられたことによるものです。この場をお借りして、厚く感謝申し上げます。

当財団が産声を上げた1989年は、同年のベルリンの壁の崩壊に象徴されるように様々な意味で世界が大きな変動を始めた年でした。1980年代を通じ、日本が世界経済における存在感を強めるなか、技術や経済のポテンシャルだけでなく、その固有の文化や社会制度を含め、日本の全体像をきちんと知っていただく必要性を痛感し、「対日理解の促進」を基本ミッションとする財団を立ち上げたのでした。

過去30年の間に日本を取り巻くグローバル環境も大きな変貌を遂げましたが、昨今世界各地で見られる、グローバル化のアンチテーゼともいえる「孤立主義」の台頭や多極化、情報通信システムの加速度的な発展に伴うサイバー・セキュリティの問題、地球温暖化や大規模自然災害の増加、発展途上国を中心とする人口問題など、国家や国境を越えた様々な進展や課題が顕在化し、異なる政治・経済・文化的背景を持つ地域、人々の相互の信頼と理解に基づく、国際協調の重要性が今まで以上に問われる時代となっています。

冒頭に申し上げた通り、当財団は「対日理解促進」を基本ミッションとしておりますが、30周年を迎えるにあたり、今一度原点を振り返り、今後の事業展開における基本的な機軸を再確認したいと思います。それは「3つのC」に凝縮されます。

1つ目は、「Connect」(つなぐ)です。日本研究を始めとし、日本理解促進に係る世界中の有力機関、オピニオンリーダー、ステークホルダーの皆様と緊密なネットワークを作りあげ、対日理解の輪を広げていくこと。2つ目は「Cultivate」(つちかう)です。つまり、世界のネットワーク作りの基盤となる次世代の人材育成に取り組むこと。そして3つ目が、「Communicate」(つたえる)。日本が持つ伝統の美しさのみならず、最先端の日本、その両者が共存し融合する姿、新たな日本の姿をきちんと可視化し、伝えていくこと。

この3つを、当財団の今後も不変の基本機軸と位置づけ、事業展開を通じ、これからの新しい日本社会の創造(Create)に貢献していくことが、当財団に託された課題と認識しております。

2020年の東京オリンピック、パラリンピックが真近に迫る中、中長期の視点から日本が果たすべき役割、そして日本の伝統文化を含め、大切にし継承していくべき価値観は何かを再確認し、民間の財団の立場からどのような貢献が出来るかを常に問い、海外の研究者や専門家の皆様との闊達な議論を通じて、グローバル社会の発展に貢献していきたいと考えております。

皆様のご期待に沿えるよう最善の努力を続けてまいる所存ですので、皆さまの倍旧のご指導をお願い申しあげます。

公益財団法人 東芝国際交流財団
理事長 室町正志

Top
Top