ご挨拶

理事長 綱川 智

私共東芝国際交流財団は、1989年の創設以来、「対日理解の促進」を基本ミッションとし、日本の歴史、芸術、文化から技術や経済に至るまで、日本の全体像の理解を深めて頂くための事業を展開しております。

いま国際社会は、新型コロナウィルスの影響から回復しつつある一方で、「ポスト冷戦期」の終焉の到来が言われ、歴史的な転換点に差し掛かっています。世界の多極化は今後も進み、変化の過程の中では、様々な摩擦や軋轢が生じる可能性もありますが、そのような時代だからこそ、異なる国、地域、そして文化の間の相互理解と信頼関係を醸成する民間レベルの国際交流の重要性は益々高まっていくと考えています。

パンデミックの到来は、従来の価値観やワークスタイル、ライフスタイル、社会制度の在り方などを見直す大きな契機となりましたが、IT技術の進歩により、グローバルなコミュニケーションの柔軟性が高まったことは大きな副産物の一つと言えると思います。

一方、昨今急速に進行するAIの進化が、人間の創造性や知的創作活動に与える影響は、正と負の両方の側面があると考えますが、豊かな社会づくりは、多様な価値観をお互いに尊重し、異なる文化・社会背景を持つ人間同士の闊達な交流を通じた知的生産活動によってしか醸成することが出来ないことを忘れてはならないと思います。

世界の文明・文化・歴史を俯瞰した大局的な視座を保ちながらも、時代の潮流の様々な変化を見据え、現代から未来に向け日本が大切にし、培い、世界の人々と分かち合うべきアイデンティティや価値観とは何か、また当財団が果たすべき役割は何かを常に問い続け、事業に取り組んでまいりたいと思います。

今後とも皆さまの倍旧のご指導をお願い申しあげます。

公益財団法人 東芝国際交流財団
理事長 綱川 智

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