Toshiba Youth Club Asia Vol.6報告

    アジア人材育成

    日本とASEAN の高校生が日本に一堂に会し、日本とASEAN 諸国の次世代人材の相互理解を深めるとともに、グローバルな視点から持続可能な地球の未来の実現のためのビジョンと自らの役割についてともに考える機会を提供することを目的として、Toshiba Youth Club Asia (TYCA) Vol.6 を2019年12 月22 日~29 日の8 日間に渡り開催しました。概要を以下の通り報告します。

    6回目となる今回は、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、ブルネイの5か国から10名(各国2名)と各国の元留学生協会のアドバイザー5 名、日本からは高校生6 名と教員3名が参加しました。期間中、参加者たちは各国混成の4 つのグループ(T、Y、C、A)に分かれ、「アジアの2040年ビジョン」(Draw a TYCA Asia Vision 2040)を共通のゴールとして、国立オリンピック記念青少年総合センター(オリンピックセンター)を拠点に、様々なプログラムに取り組みました。プログラム全般を通して、それぞれのグループは、自分達が最も優先課題と考えるアジア、もしくは地球規模の社会課題を、国連が推進するSDGs (Sustainability Development Goals)の枠組み と会期中に学んだ新たな思考法を使いながら議論し、 最終的な提案に繋げていきました。

    初日のオリエンテーションに続き、2日目には、参加高校生全員によるセッション時間を設け、前半では、参加者一人一人が、TYCA参加の動機や、自分達が関心のある社会課題について発表しました。後半では、T、Y、C、Aの4グループに分かれ、グループ内で個々の考えを深堀するセッションを行いました。国ごとに違った社会課題がある一方で、共通性や関連性があることも全員で共有することができ、その後のプログラムにつながるセッションとなりました。続いてまた、星野智子氏(環境パートナーシップ会議 副代表理事)によるSDGsに関する講義とワークショップが行われ、世界全体が抱える課題を体系的に視覚的に理解し、認識し、課題同士の繋がりを考えました。また、夕方のセッションでは、東芝国際交流財団の幹部より、社会変革の為のビジョン設定の重要性について、海外の先進事例を紹介しながら説明し、翌日以降の取り組みの流れへの理解を深めてもらいました。

    TYCA Vol.6
    各国の社会課題の共有

    3日目は、午前中に、枝廣淳子教授(大学院大学至善館教授)による講義で、「持続可能性」を原点から考えると共に、再生可能エネルギーへの転換の重要性や、バックキャスト思考、システム思考など、未来を考える際に活かされる「考え方」を学びました。

    TYCA Vol.6
    枝廣淳子氏による講義

    午後は、石橋直樹先生(駒澤大学)によるTechnology & Social Innovationの講義が行われ、産業革命時代に発明された技術が現代に綿々とつながっていること、そしてイノベーションがどのように起こるのかを学びました。その後、東芝未来科学館を訪問し、最新の科学技術の他、東芝の創業者である田中久重が製作したからくり人形の実演や、東芝が開発した日本初あるいは世界初の製品(1 号機)を見学すると共に、技術とSDGsの各テーマとの関係性も学びました。

    4日目の午前中は、清野聡子准教授(九州大学)により、現代社会の最重要課題のひとつであるプラスチック海洋汚染に関する講義が行われ、ウミガメなど海の生態系に及ぼす影響の深刻度と、海流によってアジア諸国が1つにつながる中で、幅広い地域の視野で課題解決に取り組む重要性を学びました。

    TYCA Vol.6
    清野聡子准教授による講義

    午後は、福沢諭吉文明塾の塾生により開発されたゲーム型教育ツール『Logy&Nomy』を使用したワークショップを実施しました。『Logy&Nomy』はプレイする中で、「経済活動」と「環境対策」を両立させ、その相互作用と持続可能性を意識しながら自分の国や、地域全体を更なる発展へとどのように導いていけばよいかを自然と学習することを目的として開発されたものです。参加者達は、ゲームを通じて、どのようにしたら理想の社会を実現できるか、楽しみながら学びました。

    TYCA Vol.6
    Logy & Nomyゲーム

    5日目は、自分たちはどのような未来を目指していきたいか、「アジアの2040年ビジョン」に対する考えを深めるため、T、Y、C、Aのグループごとに盛んに議論を交わし、最終プレゼンテーションに向けた骨子を固めました。

    6日目は、成果発表会の発表に向け、プレゼンテーション資料の作成に取り組みました。グループワークの合間を縫って、近隣の明治神宮の杜を訪問。都市と自然の共生について学びました。

    TYCA Vol.6
    プレゼンテーション準備

    7日目は、この1 週間で積み上げてきた学びと成果を発表する成果発表会と閉会式が外務省代表、各国大使館の大使や各所からのゲストにご臨席いただく中で行われました。T、Y、C、Aのグループごとに、二酸化炭素排出削減や、プラスティックゴミ問題の解決策、食品ロスの削減、衛生的で充分な水の供給など、SDGsとの関係性を踏まえて練り上げた2040年に向けたビジョンとそれを達成するためのアイデアを発表しました。

    TYCA Vol.6
    室町理事長(TIFO)による開会挨拶
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    各グループによるプレゼンテーション
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    集合写真(各国アドバイザーと参加生徒の皆さん)

    以上のように1 週間という限られた期間ではありましたが、高校生たちの積極的なプログラムへの取り組みとアドバイザーによるサポート、熱い討議を通し、6か国の高校生とアドバイザーが一体となり、大きな成果を上げることができました。

    更に詳しい内容は、こちらをご覧ください。

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